
ディープ・エコロジーについて知る
本書はノルウェーのディープ・エコロジー思想について形成過程と系譜、その内容と背景について解説したものです。
北欧神話。ノルウェーだけではなく、北欧全体の精神史の源流であるこの神話から、ディープエコロジーの思想を読み解くことから、考察が始まります。そのポイントは生物同士の平等、つまり人間を特別視せず、自然の一部とする共生的な思想と、人間の築いた文明の暴走による世界の終末「ラグナロク」の回避です。そしてこの北欧神話の記号学的読解をもとに、サプフェ、ネス、クヴァーレイのノルウェー環境哲学者3者の思想を読解していきます。それぞれ悲観論、楽観論、そして運動論の傾向の強い独特の思想ですが、それでもノルウェーに独特の自然体験・野外生活を思想のバックボーンに持ち、強固な共通性を有していることを明らかにしています。
環境思想について哲学の立場からのアプローチを知るのに適した本です。また、ノルウェーのエコロジーの事情を知るにもいい資料となるでしょう。
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